GW2号修理顛末記(笑)



例によって墜としてしまったGW2号の修理をリーダーに命じられ、シンジョウとダイゴはぶちぶちと文句を言いながらも、それぞれに忙しく作業を続けてきたのだが、ここにきてようやくゴールが見えてきた。
補修と部品交換はあらかた終わらせることができたので、後は電子機器系統が問題なく作動するかどうかを一通りチェックして、異常がなければ晴れて帰投することができるのである。


そしてもちろん、そこまで一気にやってしまうことも可能だったのだが、「なぁダイゴ、あと少しなんだからちょっと休もうぜ」とシンジョウが言い出して、今2人は、めいめいが自販機で買ったスポーツ飲料を手にしつつ、何とはなしに雑談話を続けている。
その内容は、丁度昨夜のティガとキングモーラットとの闘いのことに移ったところだった。


と、シンジョウが、待ってましたと言わんばかりの口調で話を切り出す。


「それにしてもよ、ダイゴ、あれは絶対に反則だよな??」
「え!?・・あれ、って??」
「決まってるじゃないか!!・・・ほら、ティガがあいつを小さくしただろ!?大体さぁ、あんなことが出来るんだったら、何でティガは毎回あの技を使わないんだよ??・・そしたら俺達だって、無駄に戦うこともないのによぉ・・」


不満げなその表情は、どうしても納得がいかないと言いたげである。
それももっともな話で、「怪獣はその大きさで社会を恐怖させる」と主張していた彼にとってみれば、ああも簡単に、しかもある意味安易とも言える解決策が示されたのではたまったものではないだろう。
そしてそれ以上に、何でも小さくできるのであれば、ひょっとしたら今まで倒してきた怪獣達の中にも、今回同様共存の道が開けた筈のものがあったやも知れず、また例えそれが叶わなかったとしても、随分と倒す手間が省けたのではないか、という思いがあるのは当然だった。


だが、実はそれは今更言っても仕方のないことなのだ。
何故ならティガの闘いはそのまま、ダイゴ自身の強力な意志の上に成り立っていたからだ。
故に今回の場合も、レナの切実な訴えを聞いて、ならばと考え抜いた末にこの結論に辿り着いたダイゴの意志に、ティガの特殊能力が呼応した結果の縮小化だったのである。
それ以前のダイゴに、その能力を使おうとする意志がなかった以上、今までの闘いでこの技が出なかったのは当たり前のことだった。
しかし無論のことそれをそのままシンジョウに言うわけにもいかず、ダイゴは必死で頭を巡らせる。
そして、ようやく出した答がこれだった。


「それは多分・・ティガも色々悩んだり考えたりしながら闘ってるからじゃないでしょうか」


これなら十分に「あたらずといえども遠からず」だし・・・というよりも、実はダイゴは今回も含めて、自分がティガになって以来ずっと、そうやって闘ってきたのだった。
現に先だっての対ジョバリエ戦の時も、あの極限状況の中で、何故闘うのかと自問自答したし、それに対する答も得られて一応は納得もした。
しかし自分がティガである以上、多分・・いやきっとこれからも、色々と悩んだり苦しんだりすることがあるんだろうな、という確かな予感は変わらずにある。そしてそれでも彼は1人の人間として、それらから目を背けることなく、自分の出来ることをやり続けるつもりでもあった。


ともあれ、要は基本的に根が真面目なダイゴは、シンジョウの問いに全くの口から出任せを言う気にはとてもなれなかった、ということだったのだが。


「何故!?何のために!?第一何でティガがそんなことをする必要があるんだよ!?」


案の定、そう矢継ぎ早に質問されて、盛大に焦りまくる羽目になってしまった(笑)
なので、何とかその場を取り繕おうと、咄嗟にその場しのぎの言葉を返す。


「あ・・いや、単なる勘なんですけど・・・ほら、ティガもついこの間蘇った訳だし・・その・・色々と戦い方について悩んだりすることもあるんじゃないかな〜・・と思って・・」
「ふ〜ん・・・何だか良く分かんね〜けどよ・・・それより・・・・おいダイゴ、お前さっきからティガが悩む悩むって言ってるけど、そもそもティガって、俺達人間と同じように悩んだりとかするもんなのか??」
「え゛ぇっっ・・!?」


しまった余計に墓穴を掘っちゃったよ〜〜・・と気付いた時には既に遅く、ダイゴは内心冷や汗をかきながら、それ以上何も言えずに黙り込んでしまった。
しばらくの間、なんとなく気まずい空気が2人の間に流れる。


と・・


「あ・・悪ぃ悪ぃ・・・単なる勘、だったよな。それにそもそもんなことお前に聞いたって分かる訳ないし(笑)」
「シンジョウさん・・?」


これまた基本的に人のいいシンジョウは、その沈黙を困惑ととったらしく、至極あっさりと追及の手を緩めてくれた。
そればかりか、


「あっ・・でもなダイゴ、俺も今お前に言われて、それってひょっとしたらアリかなって思ったんだ。なんかあいつ見てると、ウルトラマンも何かと大変そうだよなぁ・・とか思うことあるし・・」
「・・・・・・・・」
「だからよ、ティガが今回に限ってあの技使ったのも、実は何か深い意味があったのかも知れないな、うん」



・・・・なんか勝手に納得してくれちゃったみたい・・・(笑)


どうやらすっかり疑問が解決した気になっているらしい(笑)シンジョウの様子を見て、ダイゴはほっと胸をなで下ろす。
そして、「いけねぇ・・そろそろチェックにとりかかろうぜ」という言葉に応えて、晴れ晴れとした顔で、「了解!!」と答えたのだった。





※ おまけ(笑)・「モラちゃんと一緒(^_-)-☆」



「・・・けどやっぱりあれは反則だよなぁ・・・」
「シンジョウさん??」


チェックも全て異常なし、で、ようやく帰投しようかという時になって、何をまた蒸し返すのかと、ダイゴは内心大いに呆れる。
だが。


「だってよぉ・・あいつ、その・・・結構可愛いじゃん??」
「・・はぁ・・!?」


その言葉に驚いて、言った本人の顔をよくよく見れば、何とも照れくさそうな様子だったので、ダイゴは思わず吹き出した。


「あっ・・お前っっ!!よりによってそういうリアクションはないだろうが〜〜!!」
「すみませんシンジョウさん・・でもっ・・」


これがあの時強固に、「怪獣はデカいが故に悪」説を主張しまくった人間と同一人物とはとても思えない(笑)


でもま、そういうところがシンジョウさんらしいんだけど・・・


相変わらず笑いながら、だからこそこうやってコンビを組めてるんだよなぁ〜・・と、妙に納得したダイゴなのだった。






「で、男2人で、モラちゃん抱いて記念写真撮ってきたって訳??も・・ホントに何考えてんだか・・・!!」
「お前ら・・・ホンっマに、あほすぎやで〜・・」
「俺は修理をしろとは言ったが、遊んでこいとは言ってない!!」


・・・そう、つい嬉しくなって写真をヤズミに見せたのが運の尽きだった。
それはあっと言う間にネットワーク上にUPされ、GUTSメンバー全員の知るところとなったのである(笑)
ちなみに彼曰く、「もう〜・・ボクがなかなか現場に出られないのを知ってて見せびらかすんだからぁ〜・・なのでちょっとしたお返しをしてみたんです、悪しからず(^_^)v」だそうで・・・


「え〜と・・そのっ・・・おいダイゴ・・お前何か言えよっっ!!」
「何かって・・そもそも撮ろうって言い出したのはシンジョウさんじゃないですか・・!」


「・・2人ともいい加減にして。それより、2号の始末書は1号よりも分厚いからそのつもりで作成すること。もちろん手抜きしたらどうなるのかは、言わなくてもよく分かってるわよね!?」


「・・んぁぁ〜〜・・やっぱりぃぃ〜〜・・・・!!(泣)」


ということで。
案の定、司令室内には、本日2度目の嘆きがダブルで響き渡ることになったのである(笑)





おわる






後書き(^◇^;)

毎度ながら言い訳の言葉もありましぇん・・・(;^_^A アセアセ…
そもそもは、感想ページにも書いているように、30話が個人的に好きじゃないので、なら何とか自分なりに補完してみようと思い立って書き始めたんですが・・・
でもって今回はシリアスで最後までいく筈だったのにのに
のに・・・

・・・気がついたらこの始末(爆)

・・・・てことで、開き直ってUPします・・・・(←書き逃げよりタチ悪し!?(^◇^;))
(2012.6.22 UP)


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