それぞれの想い（笑） 「・・ダイゴ今夜は災難だったね。お疲れ様」 俺がデ・ラ・ムの助手席に乗り込んだのを確認すると、いつものように滑らかな動きで車を発進させながら、レナが早速労いの言葉をかけてくれた。 「全然。それより、迎えにきてくれてありがとう」 心からそう言うと、可笑しそうにレナが続ける。 「どういたしまして。隊長がね、シンジョウ隊員はああなったら、絶対引き返してきたりしないから、すぐにダイゴ隊員を迎えに行ってあげてって」 「隊長が？？」 そうか・・それであの時・・・ 「いいわね、ダイゴ隊員、貴方はそこを動かないこと。もうすぐレナ隊員がそっちに着くから」 ＰＤＩに連絡してきた隊長の口調を思い出して、思わず笑みがこぼれる。 「そ、みんなも思いっきり頷いてたよ。・・もちろんあたしもそう思った。ていうか、ダイゴだってそう思うでしょ？？」 「・・まぁね（笑）」 「助けてもらったんだし・・飛び出すにしても、せめて何か一言ぐらいダイゴに言ってからでもよさそうなものなんだけど・・・それができないのよねぇ〜・・・」 やれやれと言った感じで吐かれた思いの外大袈裟な溜息に、つられて笑ってしまった後、俺はちょっと思い直して、レナに言葉を返してみる。 「けどさ、シンジョウ隊員のああいう真っ直ぐなところって、結構いいな、って思うんだけど・・」 「あのねぇ・・あれは「真っ直ぐ」じゃなくて、「無鉄砲」っていうの。ホント養成所の頃から全然成長してないんだから・・」 「・・そうなんだ・・」 あちゃ〜・・少しはフォローできるかな、と思ったのに、ソッコ〜で訂正されたうえ、養成所時代のことまで持ち出されちゃったらお手上げだ。 シンジョウさんごめんなさい・・俺は心の中で咄嗟に彼に謝って、それからそんな自分が可笑しくなって、くすっと小さく笑ってしまった。 「ちょっとダイゴ、何が可笑しいのよぉ？？」 「あ・・いや、何でもないって・・」 慌ててそう言って、それからは例の・・カラス人間の話になって、そうこうしてるうちに基地についたんだっけ・・ 今思い返しても、あの時のやりとりは面白かったな・・なんて。 けど、シンジョウさんに関して言えば、あれは本当に俺の本心なんだよな。 確かにすぐ熱くなるし、考えるより先に行動ってタイプだけど、その分迷いもないのが正直羨ましくなる時があるし・・何より武器全般の扱いの上手さは、俺ももっと見習わなきゃだし・・・そりゃあ入隊当初は、ホリイさんの方がずっと取っ付きやすかったけど、慣れてしまえば一緒にいてすごく気が楽だし・・・あ・・慣れるっていうのは失礼か（笑）・・そう、つまり気心が知れてしまえば・・ってことなんだけど・・。 だから・・俺にとってのシンジョウさんは・・何ていうか・・色んな意味で「頼りになる先輩」・・みたいな感じ？なんだと思うな・・やっぱ。 ━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━ 「何やてぇ！？ほな、お前がヤツにモンスターキャッチャー使おう、て言うたんかいな！？」 「おう、言ったけど、それがどうしたって言うんだよ？？」 ダイブハンガー内の食堂で、遅い昼食を取りながら、ホリイに聞かれるまま、この前の対ゴルザ戦のことを話していた俺は、あいつがあんまり素っ頓狂な声を上げたもんで、思わずムッとしてそう聞き返し・・・反対に、その俺以上にムッとしたらしいあいつに、思いっきり説教される羽目になっちまった。 「・・どうしたもこうしたもあるかい！！あの時はたまたまティガが助けてくれたからええようなものの、普通だったら、ダイゴはマグマにのまれて死んどったんやで！？・・それもこれも、お前がそんな無茶をするからや！！ ・・だいたいなぁ・・初めて入った地底で、たまたまゴルザに出くわしたからいうて、ヤツの状態もよう分かってないのに、そんなモンいきなり撃ち込むアホがどこにおるんや！？」 「・・ア・アホって・・おいホリイ、それはちょっと言い過ぎだろ！？ ・・それにあの時は、そもそもダイゴの方から「僕が無理言ったばっかりにすみません」って謝ってきたんだぜ？？」 「アホか！！それがダイゴの優しさやないか！？お前がそれに甘えとってどうすんねん！！」 「・・うるさいなぁ・・分かったよもう・・・だからそうアホアホ言うなって・・・」 散々ホリイにボロクソに言われて、それでも俺がほとんど言い返さなかったのは、あいつの言ってることが至極もっともだったからだ。 ・・・ていうか、実は俺だってそんなことは全部分かっていたんだよな。 あの時明らかに先走ったのは俺の方なのに、ダイゴの方が先に謝ってくれたことも、俺のせいであいつが命の危険に晒されたことも・・・ けど、あいつがいつものようにさり気なく気を遣ってくれたから、ついついまぁいいか・・と思っちまって・・・それが俺の甘えだって言われれば、そりゃあ返す言葉もない・・よなぁ・・・ ・・・それにしても、ダイゴって・・本当に不思議なやつだと思うぜ？？ 一緒にいると気持ちが休まるってのは前々から思ってたけどよ、常に自分自身も穏やかで、あそこまで人に優しくできるってのは・・少なくとも今まで俺の周りにはいなかったし・・それが余計にあいつに惹かれる理由かもな。 もっとも、そんなこと言ったら、隊長以下俺達全員が、大なり小なりあいつに惹かれてるんじゃないかと思うけどな。 ま、中でもレナは・・そう、レナは特別だろうけど・・それは仕方ないっていうか・・・っと、ややこしくなるんでとりあえずレナのことは置いとくとしてだな、俺にとっても・・あ、俺にとっては、か・・あいつはある意味、かけがえのない特別な・・・そうだな、弟みたいな存在、ってことになるんだと思うな。 ━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━−━ 「で、要するに２人の話を総合すると、互いに自分にないものを持っているんで、そこに惹かれているってことなのよね」 「隊長の仰るとおりだと思います」 「で、だからこそ、一緒にいてもストレスもないし、むしろ楽しいんだってことよね」 「そのとおりです」 「・・そう・・・とりあえずお疲れ様。２人共、１対１で貴方を前にして緊張したりはしなかった？？」 「いえ・・全然。よく一緒に出撃する以上、相手に対する感情が、緊急時の咄嗟の判断を左右することもあるので、お互いのことをどう思っているのかきちんと把握しておきたいから、と説明したら・・・」 「したら・・？？」 「２人とも、そういうことなら・・と、具体例なエピソードを挙げて、それはもう嬉しそうに話してくれましたので」 「そう・・・」 聞きながら、思わずこめかみ辺りを手で押さえたくなったものの、流石にそれは止めにした。 それにしても・・・ ライドメカの戦闘では連携プレーが要求されることがままあるので、乗組員の間に反目感情があったりすれば、そのせいで戦力ダウンはおろか、場合によっては命の危険に晒される可能性すらも、十二分に考えられるだろう。 だが・・それならば尚のこと、反対に互いにそれだけ気が合いながら、何故こうも頻繁にウイングを墜とすのか−そればかりか、この前はピーパーでも遭難したのだ−どうしても納得のいかないイルマである。 もっとも、２人の様子を見れば、ムナカタにわざわざ個別ヒアリングをしてもらうまでもなく、息の合ったコンビであることは元から一目瞭然だったのだが・・ 「・・事務方の手前もあるし、一応何かやっておかないと示しがつかないのよね・・」 「心中お察しします・・」 「えっ？・・ああ・・ありがとうリーダー」 内心思っただけの筈なのに、知らず口に出していたみたいで、思いもかけずムナカタからそう告げられて、イルマはそんな自分に苦笑しつつも、律儀な彼には微笑みと共に言葉を返す。 が・・・ ・・・隊長のためなら不肖ムナカタセイイチ、何なりとお申し付け下さいっっ・・！！ その笑顔を受けてもなお、表情を全く変えなかった彼が、実は心の中でそう叫んでいたことまでは、流石に知る由もないのであった（笑） おわる 後書き(^◇^;) そろそろネタ切れか！？（笑）と思いつつ、相も変わらずなワンパターンでどうも・・・(;^_^A アセアセ… う゛・・・一度ぐらいはシリアスを書いてみたいんですが(^◇^;)、ま・・本人が幸せなんでいいか、と・・・（又かよ・・（爆）） ・・・・ではでは・・・読んでいただいてありがとうでした(^_-)-☆ （２０１２．７．４　ＵＰ） 戻る