Ｐｒａｙ　ｆｏｒ　ｙｏｕ 「おいホリイ、今頃ダイゴとレナ、上手いことやってると思うか？？」 デラムでＤ地区の定時パトロール中、ふと気になって俺は助手席のホリイにそう話しかけた。 「上手いことって何をやねん？」 「決まってるだろ・・デートだよ。せっかく隊長が休みを合わせてくれたってのに、どうも今ひとつ頼りないじゃね〜かあの２人・・」 「おいシンジョウ、お前人のデートの心配できる立場か？？その前にさっさと自分の相手探さなあかんのちゃうんか？？」 「けっ・・悪かったな！！どうせ俺はいまだに独りだよ！！」 こいつと話してると、どうも話がずれちまう。 俺はダイゴ達の話をしてたってのに・・ 「って・・そんなことよりさぁ・・あの２人、お互いに気があるくせに、なかなか一歩が踏み出せないらしくて、見ているこっちはやきもきするんだよなぁ・・。だから隊長も、丁度ガルラの件が片付いたこの機会に、一肌脱ぐ気になったんだろうし・・」 「おっ・・お前にしては結構ちゃんと観察しとるやないか」 「あたり前だろ、俺たち仲間なんだぜ」 「・・それだけかぁ？？・・お前、ひょっとしてレナに気があったんちゃうんか？？」 「っ・・おい！！いきなり何言い出すんだよ・・」 一応そう言い返したものの、そりゃ〜俺だって男だから、レナのことを全然意識していなかったと言えばウソになる。 けど、俺はどっちかっていうと本当は・・ 「ははぁ・・黙り込んだところを見ると図星やな。ホンマ報われんやっちゃで（笑）」 「ったく！！いちいちうるさいぞお前。それになぁ・・俺はレナよりダイゴの方がずっと気になってるんだよ！！」 言ってしまってから、ひょっとして誤解を招く表現だったかと思い当たる。 案の定、ホリイのヤツ、元々のどんぐり眼を、これ以上ないってぐらい目一杯見開いて、俺のこと見つめてきやがるし・・ 「・・シンジョウ・・お前、あんまりモテへんさかい、とうとう男に走ったんかいな・・」 ほら来た（笑）どうやったらそんな発想になるんだよ！？・・って俺のせいか？？ 「バカ言え！！俺が言いたいのはだなぁ・・ダイゴは何ていうか・・その・・・放っておけないタイプだってことだよ！！」 っておい〜・・これじゃあ余計に怪しいじゃね〜か・・・ 「とっとにかく・・ダイゴは・・言わば俺の弟みたいなもんだからさ、兄貴としては何かと気にかかる・・ってことなんだよ。分かったかホリイ！！」 自分の表現力のなさを棚に上げて、分かったか！！もないもんだとは思ったけど、この際少々のことには目を瞑ることにする（笑） 幸いホリイもそれで納得してくれたみたいで、それならそうと最初から言えや、みたいな返事が返ってきた。 なもんで、今回のことも、これでダイゴがレナと上手いこといってくれたらいいなぁと思ってるんだ、と俺が言って・・そやな、とホリイが相づちを打って、そこで話は終わりになったんだけどな・・でも、実は言いたかったことはそうじゃないんだ。 最近のダイゴを見てると・・なんかこう・・・時々考え込んでるっていうか・・・酷く悩んでるみたいに見えることがあるんだよな。 で、悔しいけど俺にはその理由が全く分からなくて・・でも、ひょっとしたら・・レナならそれが分かるし・・あいつの悩みも何とかできるんじゃないか、っていう気がするんだ・・・ ・・・くそっ！！ホントはやっぱり悔しいんだぜ・・？？ さっきは兄貴風吹かせたけど（笑）、実は俺の方こそ、ダイゴのヤツには世話になりっぱなしだってのに・・ 例えば何か嫌なことがあっても、あいつと話してるといつの間にか気持ちが落ち着くんだよなぁ・・それがどうしてかは分かんね〜んだけど。 だからこそ余計に・・あいつにもし何か悩みがあるのなら、今度は俺が何とかしてやりたいって思ってるのによ・・・ 「・・なぁシンジョウ、考え事するなとは言わんけど・・運転の方もしっかりしてや。頼むでホンマ・・」 「・・分かってるって！！」 ホリイの声に、俺ははっとして我に返る。 危ない危ない（笑）いくら慣れてるからって、万が一ってこともあるもんな。それにこの上こいつで事故ったりしたら、隊長にどれだけ大目玉くらうか分かんね〜し。 そう思ってきっぱりと考えるのは止め、暫くはハンドル操作に専念することにした。 けど・・ 「ところでお前、さっき何考えとったんや？？」 「え・・ああ、ダイゴのことだよ」 ホリイが聞いてくるもんだから、ついつい答えちまうんだよな。 ま、これくらいなら運転には差し支えないだろうけど。 「ダイゴ？？・・なんやダイゴのことって？？」 「・・え！？い・いやその・・・あいつ、入隊した時はどうなることかと思ったけど、今じゃ俺たちＧＵＴＳになくてはならないヤツになってるな、と思ってさぁ・・」 「・・そやなぁ・・・」 でも何でだろう・・何故かやっぱりホリイには本当のことが言えなくて、俺は適当な返事をしてしまい、それからはずっと、ダイゴの入隊時のエピソードなんかを、２人で取り留めもなく話してたりなんかして・・ 「なぁホリイ、休暇明けで出てきた時、ダイゴとレナ・・今までと変わってると思うか？？」 「変わってる、って何がやねん？？」 「・・それは・・・決まってるだろ？？ちょっとでも２人の愛は進展してるのか、ってことだよ」 「あ〜・・お前、またそんなやらしい事考えよってからに！！これやから独り身はあかん、言うてんねん。何でもええさかい、さっさと彼女作りぃや」 「・・いちいちうるさいなぁ・・・ならてめぇが見つけてきやがれ、ってんだよ(メ-_-)」 結局パトロールの間中バカ話を続けながら、俺はついに最後までホリイには言えなかったその想いを、胸の中で何度も何度も噛みしめる。 多分今の俺にできることなんてほとんどないんだろうけど。 もしもさぁ・・・もしも何かに祈ることでそれが現実になったりするのなら・・・ 柄じゃないって笑われたってかまわない・・・かけがえのない大切な仲間の笑顔のために、俺はいくらだって祈ってやるからさ。 だから・・ 休暇明けのダイゴの顔が、少しでも明るくなっているように・・ もしあいつに何か悩みがあるのなら、それが少しでも軽くなっているように・・ 心から・・・ 心から・・・それを・・・ 後書き(^◇^;) う゛・・タイトルからしてベタすぎですが(^◇^;)、一応「拝啓ウルトラマン様」の後日譚・シンジョウバージョンってことで。 キャラの関係性が、今までやったことのないパターン（笑）で、しかもそういうのがマイブーム（死語）中なもんで、書いている本人はめっちゃ楽しかったっす(^^ゞ けど、果たして読んで下さった方がどう思われるかは・・・(^◇^;) ・・・・てことで、ダッシュで書き逃げします・・・・（爆） （２０１２．６．５　訂正ＵＰ）