最終戦争の危機が地球から去って早半年。
再建工事の着手に先立ち、敷地内にとりあえず必要最小限の部署で構成されたエクシードラフト本部の仮住まいも完成し、慌ただしいながらも充実した日々がようやく日常のものとなってきた、そんなある日のこと。
ＳＲＥＤ隊長・叶隼人は、思いがけない人物の来訪を受けていた。

「秋葉・・・」

懐かしい姿を目にした途端、安堵とも喜びともつかぬ、ある種名状しがたい想いと共に、その男の名前が口をつく。
とある事件で知り合い、時空を越えて深い絆を結んだ光の戦士。
その彼が、再びこの地球に降り立ったのだ。
否・・今の隼人にとっては、この地球に・・というより、「自分の前に」と言い換えた方が、自身の胸の内を素直に表していると言っていいだろう。
彼が自分の前に現れたこと・・それはすなわち彼が無事であったことの証であり、それがどれほどまでに己の中で大きな意味を占めているかを、今こうして向かい合ったその瞬間に、隼人ははっきりと思い知らされていた。

「無事で良かった・・・」

我ながら、他にもっと気の利いた言い様はないのかと思いつつも、それ以外の言葉が思い浮かばない。
しかもそのことが心底嬉しい筈なのに、込み上げてくる諸々の想いのせいで、思うような笑顔を向けることもできず、なんとも中途半端な表情のままで、彼の顔に焦点を合わす。
と、思いの外強く・・それでいて優しさをたたえた瞳に見返され、思わず自分の全てがその中へと吸い込まれていきそうな錯覚を覚えた時、彼の返事が耳に届いた。

「当然だ・・・俺がお前を残して逝く筈がないだろう・・・」

その瞬間、目の前の秋葉の姿が、ひどく奇妙な形に歪んでぼやける。
それが涙のせいだと自覚する間もなく、隼人は彼の胸に抱き寄せられていた。


「隼人・・・」
「会いたかった・・・」

自身の想いを告げるより一瞬早く囁かれた名前の響きに、込められた秋葉の想いの強さを感じ取って、どうしようもなく高ぶった一時の感情が徐々に静まり、代わりに隼人の全身をこの上もない幸福感が満たしていく。
そのままゆるりと抱きしめられながら、まるでそうされることがずっと以前から当たり前ででもあったかのような、不思議な心地よさが身体中に広がり、彼はその感覚に全てを委ねた。

そう・・その感覚の源が何なのか、とっくに隼人自身気がついていたのかも知れない。
それはあの最終戦争直前の夜、ミカ・・天使ミカエルから光の戦士が斃されたと聞かされた時の底知れぬ絶望感や、今まさに大門との地球をかけた一騎打ちの真っ最中に、薄れいく意識の中で自分を助けに現れた彼の存在を察知できた時の喜びと、それによってもたらされた戦意の高揚を思えば、自ずと明らかになるはずだった。

だが、いつ終わるとも知れない激しい戦いの中では、それを自覚することすら憚られたので、隼人にとっては、今やっとその全てを解放できる時がきたと言うべきであろう。

「あ・・きば・・」

持てる想いのありったけを言葉に込め、隼人は再度彼の名前を口にしながらその顔を見上げる。

「はやと・・・」

そして秋葉もまた、全身でそれに答えるかのようにその名を呼ぶと、彼の頤に軽く手をかけ、そのまま静かに・・・





と、その時。


「エクシードラフト叶隊長、いらっしゃいましたら至急本部にお戻り下さいっ！！繰り返しますっ、エクシードラフト叶隊長、いらっしゃいましたら・・っていうか、いつまでもそんなとこでいちゃいちゃしてないで、さっさと本部に戻って下さいっっ！！」

辺り一帯に響き渡る愛の声は、いつもの約３倍ぐらいヒステリックだった・・らしい（笑）

「ＳＩＭからの映像で全部分かってるっていうのに・・」
「ていうか、その前にあそこは正面玄関じゃないかっっ！！」

モニターを見ながら、怒りとも、呆れとも・・そして嫉妬！？ともつかぬ口調で言い合っているのはもちろん耕作と拳で・・

「隊長は秋葉のことになると見境がつかなくなるからなぁ・・・」
「あの様子じゃ、生き返ってから余計に酷くなったんじゃないのか！？」
「あ〜あ・・これじゃ先が思いやられるよ・・(´ヘ｀;)ハァ」

終いにはほぼ諦め口調でぼやきまくる２人を尻目に、

・・・隼人、幸せになるんだぞ・・・

１人桂木本部長が花嫁の父状態だったのは、無論言うまでもない！？ことである（笑）



おしまい(^_-)-☆


あ゛〜すみませんすみません・・ちょっと逝ってきます・・・(;^_^A アセアセ…

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